ロストバゲージになったとき、どうすればいいか。
私は、独身の頃から海外旅行が大好きで、バックパック一つでいろいろな場所を旅してきましたし、配偶者を得てからも二人で海外を飛び回りました。その頃は身軽なものでしたから、ロストバゲージを避けるべく機内預け荷物の範囲内にまとめて飛行機に乗っていました。
「旅の荷物の量はわがままの量」という気持ちで、旅行なんだから多少不便なことはあっても当たり前、荷物は極力少なくしよう、という考えでした。
それがあるとき、気を許してスーツケースを預け荷物にしたのですが、偶然にもロストバゲージに遭遇してしまいます。初めてロストバゲージに遭遇したとき、当然焦ることになるのですが、どう対応すれば良いのか、海外旅行保険や航空会社による補償はあるのか、といったことをあらかじめ知っておいてもらえれば、いざというときにうまく対応できるのではと思います。
海外旅行保険は、寄託手荷物遅延補償が付帯されているかどうかが、カギになります。寄託手荷物遅延補償が付帯するクレジットカードは限られていますので、しっかりと、ご自身のお持ちのクレジットカードに付帯する海外旅行保険を確認しておきましょう。
もちろん、わたしたちがメインカードとして愛用しているSPGアメックスには、当然、寄託手荷物遅延補償も自動付帯しています。
そして、海外旅行保険がなかったとしても、航空会社によっては個別に補償をしてくれるところもありますので、まずは補償があるのかどうかだけでも、航空会社に聞いてみることが重要です。
人生初のロストバゲージ
海外旅行が大好きな私は、航空会社のマイレージをコツコツ貯めて、特典航空券を利用することが多いです。今から10年近く前の話となりますが、香港・マカオに行ってみようと考え、JALで貯めたマイレージを使って、キャセイ・パシフィック航空のビジネスクラスを予約しました。
キャセイ・パシフィック航空のサービスは評判が良い上、今回の旅程が東京=香港の直行便利用であること、それにビジネスクラスの予約であることから、まさかロストバゲージになることはないよね、スーツケース預けても大丈夫だよね、と考えてしまったのが運の尽きでした…
当日は、チェックインカウンターでスーツケースを預けた後、空港のビジネスクラスラウンジで食事やお酒を堪能し、機内でも快適な座席とサービスを満喫して、特典航空券の恩恵をしっかりと受けることができ、香港の空港に着陸した後、気持ちよく飛行機から降りました。
そのままマカオに直行するため、香港の空港から直接マカオ行きのフェリーに乗る予定だったのですが、キャセイ・パシフィック航空では、東京で預けた荷物をそのままマカオ行きのフェリーに載せて、マカオまで運んでくれることになっていました。
ところが、フェリーに乗って出発を待っていると、船内放送で名前が呼ばれている気がします。あれ、ひょっとして何かあったのかな?何事だろう??と思って乗務員に確認すると、荷物の載せ替えが間に合わなかったから船から下りて、次の船に乗ってほしい、ということでした。
キャセイ・パシフィック航空のハブ空港である香港で、荷物の載せ替えが間に合わないなんてなんという不手際なんだ、と思いつつも、仕方がないので船から下りて、次の船を待つことにしました。
すると、キャセイ・パシフィック航空のスタッフがやってきて、驚きの情報が寄せられます。
「ロストバゲージ」
人生初のロストバゲージです。キャセイ・パシフィック航空の直行便利用で、まさかロストバゲージするとは思っていなかったので、着替えや日用品など、当面必要なものはすべて預け荷物の中です。
心配なことは他にもあります。今回の旅行は日程が短く、マカオに泊まった翌日には香港に宿泊する予定でした。1つのホテルに複数日滞在するのであれば良いのですが、短期滞在でホテルを移り変わる場合、ちゃんと移動した先のホテルに荷物が届けられるのか、受け取ることはできるのか、という点です。
ロストバゲージして、最初にやるべきこと
ロストバゲージした場合、悲しくて、怒りたいような気持ちにもなりますが、何よりもなすべきことは、レポートを作成してもらうことです。
具体的には、バゲージクレームの係員に、自分の名前やロストした荷物の特徴を伝えるとともに、メールアドレス等の連絡先や滞在先のホテルを伝えることで、荷物を滞在先まで届けてもらう手配をすることになります。荷物はいつ届けられるのかわかりませんので、宿泊するホテルを移動する場合には、正確に、いつからいつまでどのホテルに滞在するのか、旅行日程のすべての宿泊先を伝えるようにしなければなりません。
手続きが終われば控えがもらえるのですが、そこに正しく情報が記載されているか確認するようにしましょう。この控えには、固有の通し番号が記載されています。航空会社によっては、専用ホームページで検索すると、ロストした荷物がどういう状況にあるのか追跡することもできるようです。宅配サービスの荷物追跡みたいな感じですね。
ロストバゲージのとき、航空会社は補償してくれるのか
そして、もう一つやることがあります。航空会社に対して、補償が受けられるのかどうか、確認することです。ロストバゲージに対する補償基準は航空会社によってまちまちのようで、中には、歯ブラシセットみたいなアメニティを受け取って終了、という航空会社もあると聞きます。補償が受けられるのかどうか、どのような内容なのか、聞かなければわかりませんので、バゲージクレームでレポートを作成してもらう機会に確認してみるのがいいでしょう。
そのとき、海外の空港でロストバゲージに遭遇しているわけですから、日本の航空会社を利用した場合は別として、通常は日本語が通じません。そんなとき、私が使う台詞はこれです。
「What is your compensation?」(ホワット イズ ユア コンペンセイション)
「compensation」とは、「補償」という意味です。この例文は文法的に正しいか、こなれた言い回しなのかは自信ありませんが、ロストバゲージという緊急事態ですから、その辺は問題ではありません。「compensation」という単語だけでも覚えておくと、なんとかしやすい、という点が重要です。
私の場合は、日本円で8千円を定額で補償するので、日本に帰国したら、日本にあるキャセイ・パシフィック航空の支店に連絡してほしい、と言われました。香港で航空会社の職員と会話するときは英語となってしまいますが、日本支店への連絡であれば日本語で対応してもらえますので気が楽です。
帰国後、日本支店に連絡をすると、きちんと情報は共有されていたようで、特に領収書の提示など求められずに、8千円を銀行振り込みで受け取ることができました。このような補償は、当時、ビジネスクラスに乗ったからいただけたのかもしれませんが、ロストバゲージによって困ったのは事実ですし、必要なものを現地で購入せざるを得なくなったわけですから、補償があってありがたいです。
ですが、このような航空会社からの補償は、こちらから積極的に確認しに行かなければなりません。日本の航空会社であれば親切ですから、積極的に補償の案内もあるかもしれませんが、海外では何でも自己責任となりますので、自ら積極的に行動する必要があります。ダメ元でも、聞いてみるようにしましょう。
ロストバゲージの時に役立つのは受託手荷物遅延費用の補償
今ではSPGアメックスをメインカードとして愛用しているのですが、ロストバゲージとなった当時は、アメックスのゴールドカードを持っていました。そのカードには、航空便遅延費用保険として、寄託手荷物遅延費用の補償が受けられる海外旅行保険が自動付帯していたのです。
この寄託手荷物遅延費用の補償ですが、保険会社によって多少の違いはありますが、クレジットカードに付帯する海外旅行保険ではだいたい同じような内容になっています。
アメックスの場合は、「被保険者が搭乗する航空便が予定していた目的地に到着してから6時間以内に、被保険者が携行する身の回り品で、かつ、航空便の搭乗時に当該航空会社が運搬を受託した手荷物が予定していた目的地に運搬されたかったために、被保険者が予定していた目的地において費用を負担することによって被害を被ったとき」に、衣類購入費用(普段着とは違った利用形態をとったものは不可)や生活必需品購入費用(メガネや時計、貴金属などは対象外)の支払いを受けられるというものです。
つまり、ロストバゲージしてしまい、ロストバゲージしてから6時間以上経過してしまったときに、ロストバゲージした荷物の中に入っていた衣類や身の回り品を購入すると、その費用が補償されることになります。6時間という時間がポイントとなりますので、覚えておくと役に立ちます。
補償される上限金額は、2万円までです。大きな金額ではないかもしれませんが、歯ブラシや下着など、必需品をためらうことなく購入することができますので、海外旅行保険はロストバゲージの時も頼りになります。
保険金の請求手続きは帰国後行えば良く、現地では、保険金の請求に必要となる買い物をした際のレシートが必要となりますので、レシートをもらうことと、保管しておくことを忘れないようにしましょう。
私の場合、15時頃香港の空港に到着してロストバゲージとなり、6時間以上経過すると夜となっています。そこまで荷物が届かないことを待てば保険金がもらえる対象だと判断することができますが、夜になるのを待っているとお店が閉まってしまいますので、必要な衣類や日用品の購入が難しくなります。
私がロストバゲージとなった1月のマカオは数年ぶりの寒波到来ということでとても寒く、マカオ到着後すぐにブーツが必要だと感じましたが、スーツケースに入れてあったので手元にありません。
その時点では保険金がもらえるかどうかはわからなかったのですが、やむを得ずブーツを購入し、着替えとなる下着類、歯ブラシ等の身の回りの品などを、必要最小限そろえることにしました。ブーツがそれなりの値段になってしまいましたので、合計で、おそらく3万円近くの出費となったのではと思います。
ロストバゲージしてから荷物を受け取るまで、実際にどれくらいかかるのか
保険金を受け取る対象となるためには、ロストバゲージしてから6時間以上経過することが必要となります。しかし、実際に荷物を受け取るまで何時間かかるのかは、荷物が到着する瞬間までわかりません。
買い物をしてホテルに戻り、いつスーツケースが届くのだろうかとドキドキしながら待っていました。ひょっとして、不在中にホテルのベルデスクに届いているかも、と期待してみましたが、そのようなこともありませんでした。
結局荷物は、翌朝部屋に届きました。突然ドアをノックされるので開けてみると、ロストしたスーツケースの配達でした。ホテルのドアマンが届けに来るかと想像していたのですが、宅配業者のような外見の人でした。
香港の空港でロストバゲージとなった荷物が、翌朝、お隣のマカオまで届けられたので、ちゃんと届いて良かったという印象です。それでも、ロストバゲージとなってから6時間以上は経過していますので、保険の対象となると考えられます。
保険金の請求手続き
帰国してから保険会社の窓口に連絡をし、書類を送付してもらいました。その際、いつ出国していつ戻ってきたのか、どこでどのようなトラブルに遭遇したのか、など詳しく聞かれますので、覚えている限り正しく説明することになります。
例えば、荷物を受け取った時間を証明する書類が何かないかと聞かれましたが、荷物を受け取る際には特に書類をもらわなかったと説明をすると、書類は不要となりました。
その後、一週間程度で保険会社から書類が届きますので、必要事項を記載します。連絡先等の個人情報や、遭遇したトラブルの内容、請求する費用の内訳などの記載が必要となります。
また、添付が必要な書類としては、支出をしたことを示す購入時のレシートと、ロストバゲージの手続きをしたときにもらえるレポートの控え、いずれも原本が必要となります。このほか、航空券の半券のコピーなど、日本出入国の日付がわかるものが必要となります。
購入時のレシートは、買い物した際に普通にもらえるレシートで大丈夫でした。例えば、H&Mで下着を購入したのですが、レシートには品番が書かれているだけで、特に「下着」と記載されていませんでした。このため、念のため、レシートをA4の紙に貼り付けた上で、購入したものが下着ある旨を注記して請求しました。
ブランドもののブーツでも大丈夫
また、衣類や日用品が補償の対象と明記されていましたので、ブランドもののブーツを購入しても、保険金の対象となるのかやや気になりましたが、補償の対象となりました。
ブーツが衣類に含まれるかどうかですが、ブランドものでも大丈夫なのか、気になるところではありますが、特に保険会社から理由を聞かれることはありませんでした。
保険金は、わりと早く振り込まれます
書類を保険会社に返送すると、一週間から二週間程度で保険金が2万円振り込まれました。送った書類に問題がなければ、このように、速やかに保険金が支払われることになります。
書類送付後は保険会社によって対応が異なり、支払額について個別に電話で連絡をいただける会社もあれば、支払金額を記載した書類を郵送で送ってくるだけの会社もあります。
念のため、キャセイ・パシフィック航空からもらえる補償と二重取りにならないよう、3万円の買い物レシートは、保険会社に請求する2万円強と、キャセイ・パシフィック航空に請求する1万円弱にわけておいたのですが、結果的に、保険会社とキャセイ・パシフィック航空から合わせて3万円近い補償を受けることができ、出費した費用のほとんどをまかなうことができました。
まとめ
ロストバゲージとなってしまうと、その後の旅行の予定が狂ったり、不快な思いをしたりすることになります。それでも、保険で補償されるのであれば、我慢せずに必要となる身の回りの品を購入することができ、ダメージを最小限にすることができます。
クレジットカード付帯の海外旅行保険では、ゴールドカードであっても寄託手荷物遅延補償が付帯していないものが多くありますので、選ぶのであれば、SPGアメックスのように、寄託手荷物遅延費用もカバーされるものが良いですね。
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