海外旅行保険の隠れたメリット、24時間日本語アシスタントサービス

2020年3月14日

海外旅行保険には、お金の面での安心感もありますが、実は、それ以上に、24時間日本語でのアシスタントサービスが提供されるという安心感があります。

慣れない海外でトラブルがあった際に、その場ですぐに、日本語で相談できる相手がいるというのは、とても心強いです。それに、海外と日本とでは時差がありますから、24時間対応してもらえるという点がポイントとなります。

私が保有しているSPGアメックスカードでは、海外旅行保険の引き受け保険会社が損保ジャパン日本興亜(以下「損保ジャパン」とします)となっていて、24時間日本語アシスタントサービスの名称は、「オーバーシーズ・アシスト」となってます。

公式HPでは、「海外の旅行先からでも、お気軽に日本語でお電話くださいレストランのご予約を始め、医療機関のご紹介など緊急時の支援まで、世界中のほとんどの国から、24時間通話料無料またはコレクトコールでご連絡いただけます」と紹介されています。

これまで、幾度となく海外旅行に行っていますし、このオーバーシーズ・アシストというサービスがあるという存在は知っていたのですが、どのような使い方をすれば良いのか想像することができませんでしたので、トラブルに遭遇するまで一度も使ったことがありませんでした

しかし、子供が海外でけがをして病院に行くことになったとき、初めてオーバーシーズ・アシストを使うことになりました。使ってみて思ったのですが、こんなに便利なサービスであれば、もっと頼りにすれば良かった、ということです。

海外旅行保険が付帯しているから、病院に駆け込んで領収書をもらい、後で保険金を請求すれば、ちゃんと支払いがなされるだろう、となんとなく思ってはいたものの、海外で病院に行こうとすると、お金の問題以外にも高い壁があります。

そもそも、ふつうは医療関係の英語なんてよくわかりませんので、ちゃんと症状が伝わるのかどうか不安になりますし、年末年始の旅行だったので、病院が開いているのかどうかもわからず、とりあえず行ってはみたものの閉まってました、なんてことになってしまうとけがをした子供に負担がかかります。

なので、困ったときにはまずは電話で相談してみるというのが正解です。そして、近くに日本語が通じるお医者さんがいるのかどうか、予約を入れてもらえるかキャッシュレスでの診察ができるかどうか、の3点を確認すると、安心して病院に向かうことができます。

海外で病院に行くときに知りたいこと

インターネットを使って調べることで、ある程度の情報を集めることはできるかもしれません。ですが、実際に私は、まずはインターネットでの情報収集を試みましたが、詳しいことまでは把握できませんでした。

まず、症状に応じて何科の病院に行くのか考えなくてはなりません。内科なのか、外科なのか、子供であれば小児科なのか。でも、海外にも日本のような小児科はあるのだろうか、などなど、気になることは多いと思います。

また、日本みたいにとりあえず受付を済ませて待つシステムなのか、あらかじめ予約をしてから訪問しなくてはならないのか、ということも気になるところです。

そして、医療関係の英単語はなじみのないものが多く、うまく症状を伝えることができるかどうか、という心配もあると思います。このため、日本語も可能なお医者さんがいれば、それに超したことはないと思います。

それに、保険が適用されるにせよ、キャッシュレスで診察してもらえるのか、立て替え払いをした上で後日精算となるのか、その場合には、どの程度の費用がかかるのか、といったことについても、できれば知っておきたいところです。

実際にオーバーシーズ・アシストを使ってみて、良かった点

連絡して病院についての相談をすると、すぐに保険の担当に回していただけました。SPGアメックス付帯の海外旅行保険は、損保ジャパンが引受会社となっているため、損保ジャパンの担当の方とお話することになります。

こちらから、子供の症状を伝えた上で、近くにある病院を紹介してほしい、可能であれば、日本語対応可能なところがあればありがたい、とお伝えしたところ、この地域でよくご紹介するところなのですが、と、日本語対応可能な病院を複数提示していただけました

その際、診察の予約ができるようであればありがたいとお伝えすると、希望する日程に沿って、診察の予約までしていただけました。慣れない海外での病院ですから、しっかり予約までしていただけると、安心して病院に向かうことができるというものです。

先方は保険会社の方で、加入している海外旅行保険にも当然に詳しいご担当ですから、こちらから細かくお尋ねするまでもなく、様々なことをご説明してもらうことができました

診察の際にかかった、病院で支払う費用のみならず、診察の結果必要となった処方薬も保険金の対象となること、病院の医師からの投薬指示書があれば、処方薬のみならず、薬局で一般的に売られている市販薬であっても保険金の対象となることを教えていただけました。

なんとなく、処方薬までは当然に保険金の対象になりそうだ、と思っていたのですが、医師からの投薬指示書があれば、市販薬であっても保険金の対象になるとは思っておらず、積極的に保険金の対象となるお薬の情報をいただくことができて、とても助かりました。このような情報をいただけなければ、勝手な思い込みで、市販薬は保険金の対象外になると判断していたことでしょう。

また、支払いについても、予約した病院は現金しか受け付けないこと、通常の診察であれば139ドルの診察費となるため少なくともこの金額は現金を用意する必要があること、などなど、こちらから聞かなくても必要となる情報は積極的に提供してもらえました。

加えて、医療費が10万円を超える場合には医師の診断書が必要となることについても、こちらから聞かなくともあらかじめ説明がありました。帰国後、いざ保険金を請求するという段階になってから、診断書が必要となりますと言われても困ってしまいますので、あらかじめ説明してもらえるというのは非常にありがたいサポートです

実際にオーバーシーズ・アシストを使ってみて、不満だった点

損保ジャパンの対応が素晴らしかったので安心しきっていたのですが、実際に保険金を請求してみたところ、大きな落とし穴がありました。通院のために必要となった費用のうち、一部の支払いが認められなかったのです。損保ジャパンのご担当から積極的に保険金の対象となる対象を教えていただいていたのに、肝心な、保険金の対象外となるものについては、説明がなかったのです。

「入院または通院のための交通費」が保険金の対象

SPGアメックス付帯の海外旅行保険では、障害治療費用として、治療・入院に必要となった費用だけではなく、入院や通院に必要となった交通費も支払いがなされると明記されています。

今回、病院に行くことになった場所はロサンゼルスなのですが、ロサンゼルスでは公共交通機関が発達していないため、けがをした子供を連れて病院まで公共交通機関で向かうことは現実的ではありません。また、日本のように流しのタクシーがどこでも拾えるような環境にもなく、通常は、レンタカーを利用することになります。

病院を複数紹介される中で、こちらからは、レンタカーで向かうことになるため、ロサンゼルス近郊で、予約できるところを探してください、とお願いしてありました。ロサンゼルスの交通事情に鑑みればレンタカー以外の移動手段はなく、もちろん交通費としてまかなわれるだろう、と思っていましたし、レンタカーの使用については、特に損保ジャパンのご担当からコメントありませんでした。このため、病院に行く日にレンタカーを借りて、病院に行った後返却するという、1日限りのレンタカー利用をしました。

レンタカー代は、「交通費」ではない

レンタカーの領収書を添えて保険金を請求したところ、損保ジャパンのご担当からご連絡をいただきました。曰く、レンタカーの代金は交通費に該当しないため、支払いできないとのことでした。支払い対象となる交通費とは公共交通機関を利用した場合の代金か、タクシー代金といったものであるとのことです。その代わり、自家用車やレンタカーで移動した際には、必要経費としてガソリン代相当の費用を、1km=15円の計算で支払うことはできるということでしたので、ガソリン代相当の数百円の支払いを提示されましたが、レンタカーの代金と比べると、まったく微々たるものでした。

こちらからは、ロサンゼルスでは公共交通機関が不便なため、けがをした子供を連れての移動手段としては事実上レンタカーしかなかったので、保険金の対象として認めてほしいとお願いしましたが、ご担当からは、保険契約の約款上、レンタカーの代金は対象外となっているため、どうやっても支払いはできない、という一点張りでした。

その際、例え話で極論だと思いますが、仮に山奥でけがをして、タクシーを呼んでも到底来てくれないような状況であり、レンタカー以外に交通手段がないような状況だったとしても、約款上対象外である以上、レンタカーの代金は保険金の対象となることはない、とまでおっしゃっていて、この点についてはとりつくしまがありません。

こちらとしても、どんなに事情を説明したところで、保険契約の約款上、レンタカーの代金が対象外ということであれば、納得はできないにしても、保険金が支払われなくてやむを得ないと思ったのですが、問題は、病院の相談をした際、こちらからレンタカーで向かうと伝えていて、先方もそのことを認識していたにもかかわらず、保険金の対象外となると一言もおっしゃっていただけなかった点です。

レンタカーで移動することを認識していたのに、落ち度はないの?

ご担当とやりとりする中で、こちらからは、病院を訪問する際の交通機関として、レンタカーを利用する旨話していたにもかかわらず、これが保険金の対象外となると説明しなかった点に落ち度はないのか、と確認を求めました。すると、やりとりをする中で、上役からご連絡します、ということになり、後日、その方からご連絡をいただきました。

こちらの主張は、次のとおりとなります。

  • レンタカーを利用することは話していた
  • こちらから尋ねなくても、10万を超える場合は診断書が必要となることや、市販薬も保険金の対象となることなど、保険の対象となる費用については積極的に情報提供を受けていた
  • それにもかかわらず、レンタカー利用に関し交通費の対象とならないことを教えてくれなかったことは理解できない

先方も、レンタカーを利用して病院に行くということは認識をしていた、ということです。しかしながら、こちらからレンタカーの利用が交通費の対象となるかどうか聞かなかったので答えなかったということをおっしゃいます。

いやいや、診断書が必要となることや市販薬が保険金の対象になるなど、こちらから聞かなくても積極的に情報提供していたじゃないですか、なぜレンタカーの代金については、保険金の対象かどうか明確に聞かれなかったので教えなかった、なんてことになるのでしょう。

それに、オーバーシーズ・アシストとして、緊急時の対応をサポートするという付加価値を掲げて日本語による24時間対応を提供しているわけですから、レンタカーを利用すると認識している以上レンタカーの代金が交通費の対象にならないのであればその旨伝えるべきであって、それすらできないのであればサポートになりませんよ、と話しました。

先方は、耳が痛い話です、とか、今後同様のことがないようしかるべく共有します、と言うばかりです。

支払い保留

話が平行線をたどるうちに、ご納得いただけないようでしたら、ご納得のいかない保険金を一方的に支払うわけにはいかないので、支払い保留としたいという話がありました。もちろん、こちらが納得した上で保険金を支払ってほしいと依頼すれば、いつでも支払いをするという意味で「保留」なのですが、事実上、保険金を人質にして、こちらが折れない限りは支払いをしないということだと理解しました。

支払い保留という手段を持ち出すことも納得できませんし、レンタカー利用を認識していたにもかかわらず交通費の対象外であることを教えていただけなかったことについても納得できませんし、自らの非を全く認めない態度にも納得できません。それでも、立て替え払いしている医療費がいつまでも戻ってこないとこちらとしても困りますので、損保ジャパンの対応には全く納得できないが、保険金の金額については納得した上で受け取るという話をして、終わりました

まとめ

海外で医療機関にかかることが必要となったとき、日本語で、医療機関の紹介から予約まで手配してもらえましたので、SPGアメックスカード付帯の海外旅行保険には、必要となる費用を保険金でまかなってくれるという経済的なメリットを超える、大きな付加価値があったと思います。この点については、損保ジャパンの対応に感謝しています。

とはいえ、レンタカーの利用について保険金の対象とならないと教えてもらえなかった点については、大きな不満が残ります。ですが、レンタカーを利用したとしても、レンタカー代は交通費として認められないという点は重要なので、忘れないようにしたいところです。